白鳥旅立ちへ
この景色の中には、北へ帰る白鳥たちの鳴き声がこだましています。あちこちで、カウカウと、くぐもった響く声がします。もうすぐ旅立ちだよと伝え合うように。白鳥達との別れを惜しみつつ、朝の磐梯山は少しずつ春をまとい始めています。
白鳥たちを見つけました。湖から田のあちこちに移ってきていました。泥をすすっているように見えます。いったい何を食べているのでしょう。近づくと、泥をこねる足音が、ぐちゃぐちゃと聞こえます。こんな華奢な体で翼だけをたよりに、はるばる海を越えて北へ帰るその力強さは、とうてい人間にはかなわないところです。
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